Kyung-Min Park

  • Kyung-Min Park

    本人は、2016年に慶應義塾大学大学院法学研究科から法学博士(政治学専攻)を授与されたのち韓国の国民大学日本学研究所の専任研究員および非常勤講師として在職中である。
    博士学位請求論文は、在朝鮮財産問題をめぐり植民地朝鮮の在留日本人であった「朝鮮縁故者」が果たした役割と認識を通してみた日韓関係の一断面に関する実証研究であり、1945年8月の日本の敗戦に伴ない朝鮮が日本の植民地支配から解放された時から、1953年10月に日韓国交正常化交渉の第3次会談が、いわゆる「久保田発言」により決裂するまでを考察対象とする。本論文は、まず第1章で解放後の朝鮮に引き続き定住し財産の保護を図ろうとした朝鮮縁故者の活動と、その背後にある植民地認識を明らかにするが、そこに1953年の日韓第3次会談が決裂するまでの流れの原点が形成されたという視角に立つ。そして、豊富な第1次史資料を読み込むことで、朝鮮縁故者の役割および認識と日韓国交正常化交渉に臨む日本政府の対応が、相互の関連性を持ちながら調和していく過程を実証的に考察した。日韓国交正常化交渉に関する従来の研究には、1951年の予備会談前後から考察を始めるものが多いところを、本論文は1945年8月の朝鮮解放を分析の起点とした。そのことで本論文は、従来の研究の空白期間を埋めるだけではなく、日韓国交正常化交渉が予備会談以降第3次会談で一端決定的に決裂する理由と背景の源流を解明し、その空白期間をその後の期間への連続性のなかに有機的に位置付け、意義付けている。そしてなにより、以上の実証的な研究により、朝鮮縁故者と日本政府との関係が、初期の日韓国交正常化交渉の過程とその結末に重要な影響を与えていたことを浮き彫りにしたことは、日韓関係研究のみならず日本帝国崩壊後の東アジアにおける正当性の獲得に向けた闘争の比較研究への貴重な貢献である。
    現在は、ケンブリッジ大学アジア中東学部およびERCプロジェクトの訪問研究員として、日本の対韓国政治外交史を東アジア国際関係史の文脈のなかで広めて比較し位置づけることを含め、戦前と戦後に連続する歴史認識にも焦点を当て研究を進めている。このような研究の集大成として、2018年には慶應義塾学術出版基金による慶應義塾大学出版会からの単行本が刊行される予定である。